👤 筆者:元地方公務員、アラフォー主夫のなお(妻は教員、キャリア15年)
📖 はじめましての方へ:このブログの趣旨は こちらの初回記事 をどうぞ。
📋 この記事でわかること
- 個別の教育支援計画のチェック作業にAIをどう使えるか
- NotebookLMを使った具体的なやり方(ソース・プロンプト・出力例)
- 教員歴15年の妻に試してもらったリアルな評価と気づき
- 支援計画作成・チェックでAIを使う際の3つの注意点
1人20時間の作業を、AIでなんとかしたかった話
休日でも、ほとんど毎日仕事をしている教員の妻。
昨日も朝早くから出かけて、帰ってきたのは空が暗くなる頃。さすがに疲れた様子でした😅
妻は現在、特別支援学校で学年主任をしています。
「最近どんな仕事が忙しいの?」と聞いてみたら、こう返ってきました。
「クラス担任が作った個別の教育支援計画をチェックして、直しを入れてる」
しかも──1件1時間 × 20件超 = 1人で20時間以上の作業。
そりゃ大変だ😫
というわけで今回は、そのチェック作業を「AIで効率化できないか」と考えてみました。
何をAIで楽にする?
支援計画のチェックは、大きく分けて2つの観点があります。
- ① 形式面のチェック:誤字脱字、表記ゆれ、書式の確認
- ② 内容面のチェック:実態把握・目標・支援方法・評価方法が妥当かどうか
形式面のチェックはすでに妻が自力で済ませている様子だったので、今回は 「内容面のチェック」 にAIを使う提案をしました。
使うAIは「NotebookLM」
今回選んだのは、Google製の NotebookLM。
NotebookLMは、こちらが指定した資料(ソース)だけをもとに回答してくれるAIで、こんな特徴があります。
- ハルシネーション(嘘の情報を作る)が起きにくい
- 出典が明示されるので確認が楽
- Googleアカウントがあれば無料で使える
NotebookLMの詳しい使い方は、こちらの記事で紹介しています。
クローズドな情報(職場のマニュアル、過去資料など)を扱うのに、抜群の効果を発揮してくれるツールです。
読み込ませたソース:4点
今回NotebookLMに登録したソースは以下の4つです。
| ソース | 出所 |
|---|---|
| 個別の教育支援計画の指針 | 妻の勤務校のマニュアル冊子 |
| 支援計画の記入例 | 同上 |
| 障害のある子供の教育支援の手引 | 文科省(無料公開PDF) |
| 児童の支援計画の案 | クラス担任が作成したもの |
冊子は紙だったので、まずスキャンが必要でした。
ここで便利だったのが Googleドライブのスキャン機能。スマホで紙を撮るだけで、トリミングからPDF化まで自動でやってくれます。
NotebookLMもGoogle製なので、Googleドライブから直接読み込めて楽ちんです。
プロンプト(指示文)
そして、以下のプロンプトを投げます。
児童の個別の教育支援計画について、改善案と具体的な記載例を出してください。 参照ソース: - 文科省「障害のある子供の教育支援の手引」 - 学校作成の冊子(個別の教育支援計画について/記入例) # やってほしいこと 1. 計画書を読み、改善すべき箇所を5つ以内で指摘 2. それぞれについて、現状の記述と改善後の記載例を対比で示す 3. 改善理由を一言ずつ添える # 出力フォーマット 各改善箇所について: ■ 該当セクション:(実態把握/長期目標/支援方法 など) ■ 現状の記述:(計画書から該当部分を引用) ■ 改善後の記載例:(実際に差し替えられるレベルの具体的な文案) ■ 改善理由:(なぜこの書き方の方がよいか、1〜2行) 最後に「全体としての改善方針」を3〜5行でまとめてください。 特に以下の観点で改善案を考えてください: - 目標が具体的・測定可能か - 支援方法が児童の実態から論理的に導けるか - 評価方法が明確か - 記入例の文体・粒度に合っているか 率直に書いてください。
上記プロンプトは、僕の推しAIである Claude に作ってもらいました。他の文章生成AIに頼んでもOKだと思います。
文末の 「率直に書いてください」 という一文は、AIの指摘が甘くなるのを防ぐためのコツらしい。
アウトプット:30秒で、専門家レベルの指摘
プロンプトを送信してから、わずか 30秒足らず で結果が返ってきます。
妻にアウトプットを見てもらったところ、
「あ〜そうだよね」「たしかにここが抜けてたよね」
と、納得感のある指摘が並んでいたとのこと。特別支援教育に詳しい専門家レベルの見解 が、秒で出てきます。

ここからは、僕が架空事例で試した出力例を紹介します(実際の児童データは個人情報保護のため、ここでは架空の児童「K児」の支援計画を使っています)。
アウトプット(書き出し部分)
特別支援教育スーパーバイザーとして、児童K(小学部5年生、中度知的障害・ASD合併)の個別の教育支援計画案を評価し、改善案を提示します。
現在の計画案は全体的に記述が抽象的であり、文科省の「教育支援の手引」が求める「子供一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導」や、貴校の指針である「中学部進学後の姿」を見据えた視点が不足しています。
ちゃんと 学校の指針+文科省の手引 をもとに指摘してくれます。
具体的な改善提案の例
■ 該当セクション:支援方法
■ 現状の記述:「落ち着くまで待つ。」
■ 改善後の記載例:「活動の切り替え5分前にタイマーと写真カードで予告を行い、見通しを持たせる。大声や立ち歩きが見られた際は、あらかじめ設定したクールダウン用の静かなスペースへ写真カードを用いて誘導し、本人が自ら情緒を安定させられるよう促す。」
■ 改善理由:「待つ」だけでは本人のスキル向上に繋がりません。ASDの特性(視覚優位、見通しの持てなさ)を補完する具体的ツール(カード、タイマー、スペース)の使用を明記すべきです。
「待つ」という放置に近い記述から、ASD特性を踏まえた具体的支援 への書き換え提案です。

妻に聞いてみた感想:時短にはならなかった。でも──
実際にNotebookLMで何件かレビューしてもらった後、妻に率直な感想を聞いてみました。
「正直、時短にはあんまりならなかった(笑)」
──いきなり夢が壊れる回答です😅
理由を聞いてみると、こういうことらしい。
- 中には的外れな見解も混じってた
- 入れたソースが少なかった(児童自体の詳しい情報は入れていない、計画案だけ)から、AIも一般論寄りの指摘になりがちだった
ただし、収穫もあったとのこと。
気づかなかった視点が入っていた
「自分では気づかなかった視点が入っていて、なるほどと思った」
これは大きい。AIの本質的な価値は、時短そのものより「人の盲点を補うこと」にあるのかもしれません。
「実はもうやってる工夫」が計画書に書かれていなかった
特に印象的だった事例。
ある児童について、AIが「こういう支援が必要では?」と提案。妻が見ると、担任は実はその工夫をすでにやっていた。でも、それが計画書には書かれていなかった。
つまり、AIの指摘は「新しい支援案」ではなかったけど、実践と文書の間のギャップを可視化してくれた、ということ。
「これ、計画書に書いておこうね」と担任に伝えられる材料が手に入った──これは時短とは別の意味で 重要な価値 だと思いました。
「書く側」が使った方が、組織全体として効率化できるかも
そして妻が最後に言っていたのが、
「主任の私がチェックする段階より前、担任が書く段階で使った方が、効率化できそう」
確かに、と思いました。
書く側=担任の先生が使うなら、こんな役立て方ができそうです。
🔧 担任の先生が使うなら
- 叩き台を作ってもらう:ゼロから書くより、AIが出した下書きをベースに修正する方が断然速い
- 書いた後の見直しに使う:自分で書いた計画案をAIに読ませて、観点漏れや改善案を出してもらう
この使い方なら、計画書が主任に渡る時点でかなり完成度が上がっているはず。主任のチェックの工数も減って、組織全体としては大きな時短に近づきます。
「個人の時短」より「組織の時短」。今回の体験で、僕の中の視点もちょっと変わりました。
公務員時代の経験から思うこと
実は僕も、特別支援教育に近い分野の部署で働いていた経験があります。
支援計画の作成は、本当に大変です。
- 児童の課題はたくさん書かれているのに、それに対する支援策が抜けている
- 抽象的な表現で、具体的に何をやったらいいかわからない
こういう状態になりがちなんですよね。忙しい中ではなおさらです。
でも、NotebookLMを使えば、こういう状態をかなり回避できると思います。具体的な支援策が書いてなければ、容赦なく指摘してくれますから(笑)
僕が現役教員だったら、絶対NotebookLMを使い倒します(笑)
注意点:これだけは押さえたい3つ
① 個人情報はマスキングする
NotebookLMは デフォルトで、ソース・クエリ・出力をAIの学習に使わない設計 です。
ですが、文科省の生成AI利用ガイドラインでも、AIに個人情報を読み込ませることは原則として推奨されていません。
なので、こういった対策が必要です。
- 児童氏名 → 「児童A」「児童①」などに置換
- 保護者氏名 → 削除
- 生年月日・住所・手帳番号 → 削除
- 紙ベース → 該当箇所を黒塗り
正直、この匿名化作業はちょっと手間がかかります。でも僕は、手間を差し引いてもAIを使う意義は大きい と思っています。それだけアウトプットの質が高いからです。
② 適切なインプットがないと、適切なアウトプットも出ない
NotebookLMは、基本的に 読み込ませたソース だけをもとに回答します。だから、十分なソースを用意できないと、アウトプットも不十分になります。
特に「個別」支援計画なので、その児童生徒の詳しい情報 がないと、一般論的な指摘しか出てきません。
そして、児童生徒の詳しい情報を得るには、
- 普段からの観察
- 保護者や関係機関(医療機関、放課後デイサービスなど)からの聴き取り
といった 人間にしかできない営み が必要です。観察や聴き取りは、慣れないうちはかなり難しく、必要な情報を取りこぼしたり、偏った見方をしてしまったりします。
なので、同じAIを使っても、ベテラン教員と初任者ではアウトプットの質が大きく変わる はず。これは経験を積むしかありません。
③ 一定の知識・経験がないと、アウトプットを読み取れない
知識・経験の差は、アウトプットを読み取る段階 でも効いてきます。
たとえばさっきの「視覚的ツール(タイマー・写真カード)」の話。発達障害を抱える方の中には、ものごとの見通しを持つことが難しい場合が多くあります。だから絵カードやスケジュール表で見通しを持ちやすくする支援が定番なんですが──
表面的にはわかっても、本質を理解しづらい。
つまり、AIを使えば誰でも同じことができる わけではないということ。ある程度の知識・経験が前提 です。
ただ、全く使わないより使った方が、有益な知見を得られる可能性が高い のは間違いない。AI任せにせず、さまざまな観点からアイデアをくれる相棒 として付き合うのがおすすめです。
まとめ
というわけで、妻が個別の教育支援計画のチェックをするのにNotebookLMを使ってもらった話でした。
📌 今回のまとめ
- 主任のチェック段階だけだと、時短効果は限定的
- でも「気づきが入る」「実践と計画書のギャップが見える」という別の価値があった
- 担任レベルで使えば、組織全体として時短に近づく可能性大
今回読み込ませたソースもプロンプトも、あくまで一例です。児童生徒の詳しい情報をもっと与えれば、より精度の高い支援方法を提示してもらえる可能性もあるし、プロンプトの改善余地もあるかもしれません。
完璧な準備はしなくてOK。見切り発車でも、まずやってみる。これが大事。
支援計画作成・チェックの場面でAIを使ってみたい先生は、ぜひ試してみてください。きっと、パフォーマンス向上+時短 の両方が実現すると思います!
もしAIで支援計画を試した方がいれば、うまくいった話も、うまくいかなかった話も、ぜひコメントで教えてください! 次の記事づくりの参考にもさせていただきます。
ちなみに、関連記事もどうぞ:


コメント